開発ノート
Signal SELECTOR
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コントロールアンプ(プリアンプ)を作ろうとすると、入力の切換が出来るよう制作したくなる。
このとき、切換SW(前パネル)と入力端子(後ろパネル)に装着部が分かれるため、
シールドケーブル等で接続するのだが、
L/R チャンネルを入力数分 シールド線で配線するのは 美しくない
C-MOSスイッチ素子を用いて、切換信号(5入力切換で6本)だけで 入力を切り替えたほうが、
信号ラインが短くて済むため シールド線不要で好都合である。 ということで、信号切換基板を作成する |
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アナログ信号セレクター回路
今回使は、東芝の ANALOG FUNCTION SWITCH IC の TC9152P を使用した。
( TC9152は Audio信号切換用の専用ICです )
アナログ部の電源電圧が ±16VまでOKなので 信号系のDレンジに悩まされることはない。
切換時のミューティング機能も内蔵している。
5入力を 切換可能。 (L/R 2ch内蔵)
また、切換SWの選択位置も バックアップコンデンサによって保持できるとのこと。
バックアップ用電解コンデンサとしては、基板上に無理なく載るサイズの 16V1000uFとした。
セレクタの出力には、VRまで引っ張っていくことを考慮し、オペアンプのバッファを入れている。 |
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バックアップコンデンサ1000μFの端子電圧測定
TC9152の保持電圧は 4Vであり、4V 以下になるとリセットされ デフォルト状態となる。 4V以上を保持できるのは 測定の結果 約80時間ほどであった。 80
/ 24 = 3.3日 しか持たない計算になる。
( バックアップされない場合、デフォルトとして 入力1 が 選択状態となる )
最低でも、1週間は欲しいところである。
しかし、種々実験したが電解コンデンサは自己放電量も多く、簡単にバックアップ時間を伸ばすのは困難と判断。
しからば、スーパーキャパシタを使おうということで捜したが、耐圧の高いコンデンサは サイズ大き過ぎ。
基板に載る サイズの コンデンサは 電圧が低く 2.5WV 品だと 6個も必要になるが、基板に6個 も載せるスペースは無い。
と、 しばらく手がないままに 放置。
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ようやく、NECの 3.5V 0.22F がサイズが小さく 積み重ねで使えそう。 ということで 早速実測してみた。
15Vの電源電圧に対応するために、5個シリーズ(17.5V ) に接続 (積み重ね) している。
実験で使用した NEC製 スーパーキャパシタ FM0V224 ( 3.5V 0.22F )
10o角ほどの大きさで 四角なので 積み重ねが やりやすい。
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これはもつ。
今度は、測定につきあっていられないくらい電圧を保持する。
ということで、48時間放置して測定した値から推定。
1750時間と推定された。 約73日 持つ計算になる。
これなら いける。 |
早速、基板 手配
スーパキャパシタ5段重ね用の基板。 1000μFのコンデンサ スペースで装着可能。
10Vの ツエナーダイオードをいれ、3個でも対応できるよう パターンは考慮されている
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ところで、
いざ、ケースに実装しようとすると タクトSWは すこぶる装着が難しい。
折角、バックアップ時間の問題を クリアしたのに ・・・・・・
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ロータリーSWを使用する場合を 検討する
ロータリーSWは、パネルに 孔1個 開ければ済む
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ロータリーSW
ロータリーSWは、1回路 5接点以上のSWを使い 5接点になるよう設定する。
接点数の制限は、付属のストッパー付きワッシャーの位置を 矢印の
位置にセットすることで 回転位置を 任意に設定できる構造のものである。
上のSWをアナログ切換基板と接続する。
ロータリーSWは当然のことながら 「位置を記憶する」 ので
バックアップ用のコンデンサは不要である。 アララ ・・・・・
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ロータリーSWにも対応した回路図
電気二層コンデンサも装着してあるので、タクトSW ロータリーSWの
どちらでも使用可能な回路になっている。
ロータリーSWを使う場合は、当然 0.22Fの電気二層コンデンサx5 は 不要である。
ポジション表示用のLEDは必要ならタクトSWと同等の回路で追加可能
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逆向きに使う (5 in 1 を 1 in 5で) 逆転の発想 !
あるユーザから、1つの信号を複数のアンプに振り分けるようなラインセレクタは
いかがなものか、というアイデア提案を頂きました。 ( K.D様 ありがとうございます )
今回使っているセレクタICは、専用ICであり内部にバッファなんぞ入っており
単純に リバース使用はできないと思っていたのだが、仕様書を見てみると
単純な C-MOS SWの入出力らしい。
ならば、ということで 基板上の4558のバッファアンプを抜き 入出力をショートして
動作確認してみた。 回路にするとこんな感じである。
問題無く使えるようである。 とはいえ 確認のため
正規の場合と 逆向きの場合で 動作抵抗(on抵抗)の差があるか確認してみた。
条件: 1KHz 5V入力時 390Ω負荷による電圧降下法
正規方向: 112Ω
逆方向 : 110Ω
多少差が出たが、測定誤差範囲であり逆方向使いによる動作抵抗の差異無し、
つまり問題無し、 と判断できる。
尚、ICのスペックでは TYP.=100Ω Max=300Ω である。
こんな用途が有りと思われる方は、改造をお試しあれ。
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