COMBO384DoP




CQ出版 エレキ工房 記事・連携企画

切替ノイズを対策する◆

CQ出版社のトランジスタ技術増刊 「エレキ工房」 誌に
【DSD対応 USBヘッドホン・アンプ 】 として
制作例の 一例として 掲載頂きました。  

ケース組込手順も含め まとめていますので 是非 ご一読のほど。



掲載頂いた本は  こちら で購入可能です



掲載アンプ 作例写真
 

 

◆以下、ヘッドフォンアンプを HPA.と記載する場合がありますので ご了承下さい。



掲載記事では ベーシックな構成で組み立てています。
色々アップグレード余地を残していますので、
そのあたりを フォローしていきたいと思います。


基本的な流れは、「エレキ工房 No.4」 を 参照願います。
(なお、出版物優先のため 当Webは 3ヶ月遅れでの開始と致しました)


さて、連携企画 第一弾は DSD-PCMを切り替える際の切換のイズ対策です
 記事内容 (P.91)

● 出力のmuting
COMBO384のMUTING信号のパルス幅が 狭い(7μs) ので、
単純につないでも 実際の効果が見込めそうに無いからです。 
使う場合は マイコンにパルスを取り込んで有効な時間となるよう
処理することが必要です。





 H.P.A. 記事の中で DSD⇔PCM 切替時ノイズ対策は マイコンにパルスを取り込んで処理する事が必要としていますが、そのためには 制御基板の再設計が必要となるため 見送り としていました。 今回、対応の制御基板を設計するにあたり、改めて COMBO384の Muting用信号のタイミングなど調べて見ました。

 実際に 「COMBO384+現行の制御基板」 を使っていると、PCMから DSDに切り替える際は、それほどノイズが気になりません。 しかし、DSDからPCMに切り替える時の方が、ノイズが大きく ちょっと気になるレベルです。






◆ PCM→DSD切換時のMuting信号(赤)と
PCM/DSD切換信号(黄)です。

Muting信号のパルス幅は、約7uS ぐらいです。




◆ DSD→PCM切換時のMuting信号(赤)と
PCM/DSD切換信号(黄)です。

Muting信号のパルス幅は、こちらは 約150uS ぐらいあります。




【参考情報】
今回、COMBO384と組み合わせて使っている DACチップの PCM1792/1795/1791等では デジタル信号再生中 ゼロクロス以外で、デジタル信号が 途中で途切れた場合 その止まった位置に相当する信号レベルで DC電圧が出る可能性があります。つまり 結構な レベルのショックノイズが発生する タイミングがあると考えられます。


切換時の、DAC出力波形例

◆ DSD→PCM切換時のMuting信号(赤)と
DACオーディオ出力(黄)です。


この切換タイミングの場合、440uS ほど 約3Vpp の パルスがオーディオ出力に出ているのが分かります。 これが 切替時の 「パツッ」 という ノイズの正体です。  (再生する ファイルや タイミングで異なります)


ショックノイズは Muting信号より 30-40uS 遅れていますのでうまく処理すれば、Muting信号で ショックノイズは消せそうです。
但し、Mutingのパルス幅は狭いので、マイコン割込で検出し必要な時間だけ Muteするような 処理が必要です。


さて、Audio信号ラインに Mutingをかける方法としては
  (1) DACの ATT機能を使ってMutingする
  (2) Audio信号ラインを Muting専用のトランジスタ等
    でMuteする

等があります。

確認したところ、(1)の DACのATT機能を使う場合、ソフト的な コマンドで指示するわけですが、どうもそれではタイミング的に 間に合わないようです。

となると、(2)の 直接信号ラインにMutingをかけるしか 手はないのですが、幸いなことに 現行の PCM1792用DAC基板には、Audio出力ラインに Muting TRを入れられるような パターン設計としていますので そこに Mutingを 掛けることにします。



表面実装トランジスタ 4個と 表面実装抵抗3本、
普通の抵抗2本の追加が必要ですが、基板に
パターンはありますので、追加作業可能です。


DAC基板 muting追加部回路例

赤線が追加部品、青線が半田ジャンパの削除です。
 【使用部品】
  TR3, 4 = 2SD2704  SMD
  TR2 = MUN2111 (10k/10k)  SMD
  TR1 = MUN2211 (10k/10k) SMD
  R215, 216 = 330Ω 1/6w
   ( 半田面でショートジャンパ削除 )
  R219, 220 = 2kΩ SMD
  R231 = 10kΩ SMD
 SMD:Surface Mount Device
2SD2704 は秋月、 MUN2111/2211 の代品はマルツで DTA114EKAT146/DTC114EKAT146 あたりが入手可能です。



DAC基板に トランジスタや抵抗を追加した例

部品なし (通常基板) →→→ 部品あり (追加基板)





では mutinguパルスは、マイコン処理で 対策としましょう ! と 言ってしまったのでは 既にお持ちの方から、「 買い直さないといけないの ? 」 との声が聞こえてきそうなので、 何とか 自分でやりたい派向けに トランジスタ等で、自作追加回路を作って 対策する例を 先に紹介します。

   ( タイマーIC NE555 等を扱い慣れた方は それで
       Muting パルスを 10-20mS に引き伸ばせば OKです )


手持ちの トランジスタで、Muting バッファを 作りましょう。
◆ 条件は:

  ・COMBO384からは、muting信号は 正バルスで 出ます。
  ・DAC基板の Muting回路は、正パルスで ON します。

つまり、同相のバッファであれば良いということです。
また、パルス幅が足りないのですから

   ・7uSぐらいのパルスを、20mSぐらいまで引き 延ばす事。

というのが いわゆる、要求仕様 となります。



久々に、breadboardなど 持ち出して実験しましょう。

たまには こんなアナログな 実験も 面白いです ・ ・ ・



muting駆動回路例


トランジスタは、2SC1815-Y、2SA1015-Y を使いました。
hfeランクはあまり気にしなくても良いのですが、今回は
低めの Yランク で十分 (Yが良い) でしょう。



動作波形は、下図のようになりました。

赤色が、上記回路を通した muting out 信号です。   
15mS ほどの 三角な 波形になりました。
黄色は COMBO384 の DSDーPCM 切替信号です。

単純な、CR回路ですから こんなもんでしょう。


これでも、切替ノイズには 「 効果有り 」 で
ほぼ、気にならない レベルになりました。  



なお、PCM/DSDモードが同じで ファイル変更時にも
Combo384から Mutingパルスが出るようですので
PlayFile変更時の切替ノイズに お悩みの方も
お試しください。

DSD PlayFile変更時のパルス


PCM PlayFile変更時のパルス


但し、Muting時間の設定によっては
曲の頭切れが 生ずるかもしれません。 
いわゆる ギャップレス再生的にファイルを
作っている場合は 要注意かも。


本稿での Mutingについては、これで終了です。


Muting用トランジスタ について
少し説明を追加しました。  こちら


 なお、DAC基板のMuting回路を制御基できる 新・制御基板板と Muting回路を搭載していない、DAC基板(PCM1792W / 1795W等)と 組み合わせても使用できる、新・Muting基板(V3.0) が完成しました。

 ◆ 新・制御基板(Muting対応版)については こちら

 ◆ 新・Muting基板(V3.0) については こちら




 



現行Muting基板の例  (Apr / 2016現在 )


このミューティング基板で、電源投入時のノイズとFobbar2000での
ファイル切替時のノイズを 低減可能です。



ファイル切替時の Combo384からのMutingパルスの例です。


・黄色が Combo384入力
(CN612-1)
・赤色が MutingTR の 駆動波形 


約150mS間、Muting回路を駆動した例


例では Muting回路用電源を ±12V にて動作していますので
Combo384 から 3.3V、TR駆動用として ±12V のパルスが
150mS程度 加わっていることが 確認出来ます。


Muting時間を変えた例
 (JP611-2ショート時)



本基板では、Mutingパルス入力端子は、マイコン側で
プルアップされ、入力パルスのエッジ検出で動作しますので
Mutingパルス入力する端子(CN612)をショートすることで
TR側の動作を確認出来ます。 ショートした瞬間に音が
一瞬 途切れれば、接続・動作は正常です。



  販売セットの説明に Jamp 
DSD1792版 DAC基板に Jamp 
PCM1792mono twinの組合せに Jamp 



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