Vacuum Tube Amplifier
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音楽を聴く道具を [システム] として見渡した時、メインアンプの存在は大きい。
音を左右するファクターが大きいだけでなく、システム構築の要素作りに参加する余地も多いのである.
従って、オーディオマニア/オーディオファンと自称する方にとって、
メインアンプは 一度は自作を手がけたことがある、あるいは自作しようと目論んだことがある パートであろう.
時を超えて 今 Integra931 よみがえる
今回こんな素材を使って、最終こんなかたちに仕上げようと思っている。
電源トランスは、そのまま流用します.
トランジスタ回路基板をとって 真空管とトランスを並べただけですが、それなりに見えます。
ケース加工が苦手な人間が、なんとか格好を付けようとすると ヤドカリ的 発想になります。
しかし、廃棄物を再利用するということで、最も今風かもしれないと思ったりするわけで.
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性能目標は、5%歪み時 出力 1W/8Ω
LME49600 + トランス が ライバルである
使用する真空管の選定であるが、半導体アンプの電源電圧範囲で使うとすると、±30V、計60V程度のプレート電圧で使用することになる。 このような電圧で使用することを想定しているのは、トランスレス系の真空管か電池駆動系の真空管ということになる。
今回は、ヒータ電圧に着目した。 店売りしている通常の電源トランスで半導体用として比較的高い電圧を取り出せるものとしては、AC24V x2 クラスである。
制作の安全面などを考慮すると、AC100Vの生は極力使いたくないので、トランスレス管を使うにしても、二次側から供給することを前提とするなら、ヒータ電圧が24-5Vの真空管が望ましい。 ということで、ヒータ電圧25Vの
25F5 と 25C5を候補として選択した。
実験では 25C5 で行う。 |
下図は、25C5の eP-iP 特性である。
電源電圧 60Vと想定したときの eG2=60Vとして iPの目盛りは青線で置き換えてある。
種々の計算式があったりするが、要は与えられた電源条件に於いて、どれだけの電圧・電流の変化を与えられるか(取り出せるか)ということであり上記グラフに仮置きしたパラメータ範囲からの算出となる。
まずは、最適負荷 rL であるが、
rL = (85v-30v) / (45mA-1mA) = 1250Ω と 算出される。
次に出力であるが、効率を 75%程度と見積もって
Po = ((85-30) / 2.28) x (45-1) / 2.28) x 0.75 = 24.1 x 19.3 x 0.75 = 0.35 W
シングルアンプで得られる電力の 2倍〜4倍 が PPとした時 得られる出力であるが 現実としては、動作点をうまく設定したとしても Bクラス動作で
3倍位であろうから
0.35 x 3 = 1.05W と 目標の 1Wを 何とかクリアしそうである。 但し、Bクラス時であり、Aクラスの場合は 2倍。
しかし、現実としては 既に持っているトランスを使わざるを得ない等、条件は厳しい
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実験用バラックの回路
system72の電源基板を流用します。
まずは、シングルで動作点を探りました。
各定数は、実験によって設定した後の値になっています
バラック 実験風景
出力波形を確認しながら、最適なカソード抵抗を確認したところ 220Ωが良さそうである。
判断は、波形クリップが始まるところとしているが ソフトディストーションなので分かりにくい。
この時の抵抗両端の電圧は 4.83Vであったので Ip+Ig2は22mAである。
特性図からは、5.2V 23mA程度と見込んでいたので ほぼ狙い通りといって良かろう。
このあたりのいい加減さが、半導体回路にない 真空管回路の ゆる〜い感覚で 大好きなのです
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1KHz 最大出力測定結果
負荷は、手元にあった22Ωの抵抗3本並列接続して測定に使用したので 7.3Ωとなっています。
この時、1.56Vであるから 出力は 0.33W得られた。 トランスが3KΩのものを使っているので 最適値の1250Ωからは 離れているが、GEのデータ上では 負荷抵抗が最適値の2倍ぐらいで
15%位 落ちることになっていることと、電源電圧が 当初設定の 60V => 70V で約 17%アップになっている事を考えると、相殺され
ほぼ目論見通りの出力が出たのだと見なせる (但し、本番で70Vの電圧が確保出来るかは不明ではある)
ダミーロード補足 : メタルクラッド抵抗を使った、ちゃんとした
負荷装置もあるのですが ・・・ ゆる〜く やってます |
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トランス2次側(負荷抵抗両端)クリップ点
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プレートの波形
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その他、動作パラメータは 以下の通り。
・ Ig2 = 1.8mA
・ Gain = 1.56V / 2.63V = 0.593 : -4.5dB (at 1KHz)
カソードのパスコン(47uFが無い場合)
・ Gain = 1.45V / 6.17V = 0.235 : -12.6dB
つまり、パスコンがないと Gainが 8.1dBも落ちることになり ドライブがかなり厳しくなる。
・今回使用したトランスの 1次DCR = ( 69.8V-65.5V) / (22mA-1.8mA) = 213Ω (3KΩ端子)
<参考データ>
1. トランスの一次を 5Kとした場合の出力
Po = 1.4V / 7.3Ω : 0.27W であった。
2. 真空管を 3結とした場合の出力 と Gain
Po = 1.08V / 7.3Ω : 0.16W
Gain = 1.08V / 5.3V = -13.8dB
となり、出力 Gain ともかなり厳しい結果であり、今回の回路で 3結にするメリットは少ない。
・ 3結の出力波形
波形的に上下の非対称性が感じられる。
有効出力は もっと小さいかもしれない。
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ほぼ基本動作の確認はできたので、
次回は、駆動回路の実験です。
OPA2604で駆動したいと目論んでいます ・・・・・
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アンプとして使用するためには、トータルゲインとして 10dB程欲しいところです。
(ひと昔前とは入力感度の基準が違います。 最近は、1V〜2V/0dBでしょうか)
前回の出力管単体動作では、-4.5dB程度でしたので、15dBのゲインアップが必要です。
真空管を使うと ヒータ電源やら動作電圧確認やら 色々ありますので ここはオペアンプ一発でいきましょう。
オペアンプによる駆動回路
フィードバックをかける方法を種々検討したのですが、結局一般的な形に落ち着きました。 トータルNFBをかける時点での検討結果として、カソードのパスコンは無しとしました。
アンプの仕上りゲインは 10dBになるよう設定しています。 出力トランスからの NFB量は 約5dB程度です
NFB抵抗とパラに入っているコンデンサは、リンギング対策です。
5極管は 動作インピーダンスが高いため高域で 出力トランスとの共振等、 このような振動波形が発生し 対策が必要なケースが発生します
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リンギング対策コンデンサ無し
10KHz 矩形波
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対策コンデンサあり
10KHz 矩形波
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周波数特性
-3dB帯域 40Hz〜 100KHz(以上)
[ 5極管 + 小型シングル出力トランス] としてはこんなモンでしょう
出力特性
WaveSpectraを使用して測定
シングル動作による基本回路設計は完了。
25C5 0.3W シングルアンプ(DC±30V駆動)は 制作可能となりました
次回は、PP動作(位相反転駆動)の実験です
差動平衡素子登場 !?・・・・・
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MJ誌(無線と実験)をぱらぱらと見ていて ふと佐久間さんのアンプ回路が目にとまった。 出力トランス4個をシリ・パラ接続して出力管の最適インピーダンスを確保している。
おお! これだ。 目から鱗とは このことか |
今回使用している トランスの一次インピーダンスは 3KΩであり 計算上値の約 2倍。 パラレル接続すれば、1.5Kとなり 出力アップが図れる
・・・・・ かも。
ということで早速、2個のトランスを色々組み合わせて出力アップが可能か確認した。
結論。 1個で充分。
一次・二次のシリ・パラ各種組合せを試みた結果、パラ・パラ が最適組合せではあった、 が
出力:1.53V => 1.61V (0.32W => 0.35W) 約10%アップ
そっか、そんなモンなのか。 と、簡単に納得。
つまり、出力 100Wを目指し、91Wだと クソッとおもい 何とかしようとするだろう。 しかし、0.35W目標だとして、結果 0.32Wなら
よしよし としないか ?? ということ。
同じ 10%差でも、目標によって 重みが違う のだ
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今回の測定で、トランス組合せには問題があることも判明した。
低域での一次インダクタンス不足で周波数特性が面白くない結果になるのだ。
1個使い: 40Hz -3dB だったのが
2個使い: 40Hz -9dB と大幅低下
格安・小型トランスの悲しいところである。 佐久間さんが使う、プレミアムトランスとは物が違う。
いや、違いすぎる。 同じ土俵には立てないのだった。
目にはまた鱗がもどった。 |
トランスの一次インピーダンス測定データを示す
シングル用、PP用取り混ぜてはあるが TAMURA製は群を抜く低域特性である。
今回の実験で使用しているのは、春日 41-357 である
測定したトランス
割込が入ったので、
次回、PP動作(位相反転駆動)の実験です
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PP 駆動回路の実験
思ったより というか、思った通り というべきか、Bクラス動作では思った特性がでない。
結局、 Aクラス動作となった。
PPの実験最終回路図
位相反転と出力管のドライブに、AnalogDevices社の平衡型ラインドライバ SSM2142 を使った。 高精度差動ドライバーであり、プロ用機器のライン送出用などに用いられる石である。
入力バッファ兼トータルNFB用バッファアンプとして OPA2604を使用。 電源は、system72の電源基板を用いており、整流直後の +側を真空管の
B+、-側を、真空管のカソード(グランド)側として使用する。
信号系のグランドが オペアンプ系 と真空管系で 分かれてしまうので、実験や測定時等 配線変更時の扱いには注意を要する。 完成してしまえば、関係ない話ではあるが
実験終了時のブレッドボード。 かなりのスパゲティ状態。 電源電圧が低いので 回路自体には無造作に触れるが 真空管の熱さでやけどしそうになる。
やっぱり真空管アンプだ と思う瞬間である |
(測定時、出力トランスの位置を変え電源トランスから離しました。漏磁束-ノイズ対策)
測定結果です
WaveSpectra使用/THDです。
無線と実験(May/2010)付属の 高音質音源使用CD で 早速試聴
<試聴環境>
PlexterPlemume2/ATAPIコントローラ + PCM1794 + 電子VR + 本実験機(モノラル) + Altec604-G
テレサ テンの歌をまともに聞いたのは初めてである。 TVでしか聞いたことがない
出だしのインストゥルメントはラジカセ並みの音。 しかし、テレサ テン の声は う〜ン ・・・ 良い。
モノラルでこのプレゼンス。 これは、早くステレオ回路にしなければ
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出力は、目標に届かなかったが、音を聞く限りでは充分使える。
最近まで 3A5PP 「電源電圧 15V / 35mW 」 を使用していたので かなりパワフルに感じる
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「最終工程」
シャーシの内部
ケースをのせる前
ケースをのせた
低電圧B+ [DC±30V] 真空管アンプ
25C5 PP
完 成 !
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